マタニティ専門鍼灸院 銀のすずは
妊娠初期から産後の方を専門でサポートしています。

妊娠と鍼灸

妊娠は人類が始まって以降、長い年月続いてきた行為です。
人間だけではなく、生物にとって最も重要なテーマでもあります。
当然、つわりや腰痛、むくみ、陣痛などの不定愁訴もありました。
古い書物、黄帝内経(紀元前)に妊娠出産に関わる記述があります。
黄帝内経は約2000年前の書籍にです。
どんなことが書かれているのでしょうか?

素問・五臓別論:女子胞について
素問・上古天真論:生理などの女子の発育について
素問・陰陽別論、素問・腹中論:閉経について
素問・陰陽別論、素問・痿論:崩漏について
素問・骨空論:帯下や不妊について
霊枢・五色、霊枢・水脹:診察法について
素問・六元正紀大論:妊婦の服薬


女性の成長、月経や閉経、不妊や妊娠、そのトラブル、対処法などが書かれています。
この時代に大したものだと関心しかありません

きっと現代よりトラブルが多かったのだと推測します。
1950年は100,000人の妊婦さんがいると161人が妊娠中に命を落としていました。
2011年は100,000人の妊婦さんがいると3.8人が妊娠中に命を落としていました。
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大昔から妊婦さんは大変な思いをしながら、命を懸けて出産をしていたのです。

現代のように妊娠というメカニズムが精子や卵子の出会い、ホルモン分泌などまったくわからない時代にどのように対処してきたのでしょうか?

それはもちろん、陰陽論と五行論が基本となったでしょう。
そこに長い年月をかけて築き上げた経験が積み重なりました。
それはそれは大変な数の人たちの実体験の下で今の東洋医学が成り立っています。

その実体験こそが東洋医学の強みです。

つわりに効く薬草を見つけることも、ツボを見つけることも、試行錯誤で見つけたことでしょう。

東洋医学は自然との共生を重要視していたため、当時の気候風土、生活習慣などの影響を受けています。

およそ2000年前の中国はどのような気候風土と生活習慣だったでしょう?

コンビニやスーパーはあったでしょうか?
自宅に冷蔵庫や電子レンジはあったでしょうか?
エアコンや床暖房はあったでしょうか?
ヒートテックなどの服、靴下などはあったでしょうか?
マンションなどのように気密性の高い家だったでしょうか?
蛇口をひねってお湯が出るなど、電気やガスはあったでしょうか?

まず、コンビニやスーパーなどのはなく、ほぼ自給自足で、その日暮らしだったでしょう。
冷蔵庫はなく、保存はできなかったでしょう。
とても貧しい生活をしていたでしょう。
家は土間、板の間で底冷えする、壁も薄く、隙間風もあったことでしょう。
エアコンなどの空調はなく、囲炉裏程度の暖房機器でした。
お湯は毎回、火を起こして作っていたでしょう。

今では考えられないような生活でした。
余程のお金持ちや位の高い人でないと貧しい生活を送っていたでしょう。
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平安時代のおうちです。

当時の妊婦さんも貧しい中で妊娠をしていたでしょう。
栄養状態の悪い中だったため、ふくよかな妊婦さんは少なかったのではと推測できます。
身体や冷えやすい、免疫力も低下しているような状況だったでしょう。
生物学的に考えれば、細胞の代謝によってエネルギーと熱が作られます。
妊娠中の高温期維持をすることも難しく、エネルギーの塊である血液を作り出すことも難しく、良い妊娠期を過ごせなかったかもしれません。
場合によっては不幸なことも起こったことでしょう。

さて具体的に、妊婦さんの状態を東洋医学で見ていきます。
妊娠初期に起こる「つわり」の原因として、東洋医学では脾胃虚弱、肝胃不和、痰湿などがあります。
現代でいえば、胃腸が弱い、ストレス性胃炎、水が多いということです。
どれも虚弱体質でも起こり、また過剰なストレスなどでも起こるということです。
当時は栄養状態も悪く、物理的なストレスも想像がつきます。

現代では、昔とは違う理由で栄養状態が悪い、過剰なストレスもあるでしょう。
毒ともいうべき食材を食べ、必要な栄養成分を食べず、栄養失調状態と毒まみれ状態、精神的ストレスの過剰などです。
これでは代謝が良いはずがありません。

過去と現代、合致するところ、しないところがたくさんありますが、古い東洋医学が役に立たないとは言えません。

妊娠は「人類に残された最後の自然」と言われるように、まだまだ解明されていないことが多くあります。
妊娠に関わる時こそ、東洋医学の英知を利用してみましょう。

私たちには「天癸」という生殖に関わるエネルギーがあります。
このエネルギーは先天の精気によって作られます。
女性は7の倍数で成長し、男性は8の倍数で成長します。
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この天癸によって女性は月経が始まり、男性は精が宿ります。

月経には4つの期間があります。
行経期、後経期、経間期、経前期があります。
行経期:衝脉・任脉・子宮の気血が空虚 → 腎気や天癸の作用も弱くなっていく
後経期:腎気が盛んになり、気血が調い、血海が充実 → 腎気が上昇して生化がふたたび始まる
経間期:陰陽ともに生長して、腎気が充実して盛ん → 陽気が発動して陰精が排泄
経前期:腎気の主導の下、血量が調節され(肝)、生化が施され(脾)、子宮に関わる経脉が主られ(心)、衝脉・任脉の気血が充実 → 子宮の中に注がれ → 先天の腎精・後天の精血に充分養われ、気血が非常に盛になる
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続いて、妊娠について。
東洋医学では、妊娠するには条件があります。
・陰陽が充実していること
・陰陽が調和していること
・両精が互いに搏ちあうこと
・腎気、天癸、衝脉と任脉、気血が充分に子宮を養っている

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イメージがつきにくいかもしれませんが、陰陽の充実や調和とは、男女それぞれのバランス、男女のバランスなどを言います。
もちろん、ホルモンバランス、精子や卵子とのバランスも含まれます。

両精とは精子と卵子を指し、お互いに出会う、つまり受精することをいいます。
そして子宮の中にエネルギーが満ち溢れていることが妊娠の条件です。

妊娠すると、子宮内に気血が注がれ、胎児は10ヶ月かけて成長します。
子供の成長に関しても東洋医学ではこう書かれています。
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妊娠期間中、優先順位は胎児です。
体内の気血(エネルギー)が胎児に集まり、結果、熱を帯び、胎児に送る血が増え、母体側の遠いところは行き渡らなくなります。
これを「血虚胎熱」と言います。
半夏厚朴湯、小半夏化茯苓湯、内関、足三里

この状態では、手足末端は冷え始め、子宮から漏れ出した胎児の熱は上へ上へあがり、胃を突き上げ、吐き気を起こします。
これを胃気上逆といい、つわりを起こします。
特に、妊娠初期は体温が高い状況ですので、胃気上逆が強く出ます。
この状況は頭痛の原因にもなります。
母体の血水は胎児への血をさらに増やすため、足りない状況となります。
この状況は出産するまで続きます。

骨格的には、胎児の成長とともに、おなかが大きくなり、背骨は反り始めます。
また骨盤が広がり、不安定になり、腰痛や骨盤の痛みが強くなります。

こうして妊娠中は様々な不定愁訴を起こします。

自然現象である妊娠。
つまり解明されていないことが多いということです。
そんな妊娠中のケアには東洋医学が向いています。

体内の熱の処理には「清熱」という取り去る方法(瀉法)を用います。
漢方、針灸の両方で可能ですが、漢方の場合、体内に吸収させて効力を発揮させるため妊娠中に使いにくこともあります。
ツボの場合、こもった熱を経絡の流れを開放することで逃がすことができますので、妊娠中でもリスクなくできます。
清熱の有名なツボは、合谷、曲池、百会、各指の先端です。

血を増やすには「補血」をします。
清熱とは異なり、補充をするため、栄養と同じように血肉になるものを食べます。
補血で有名な漢方は地黄、当帰、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などがあります。
ツボでも、三陰交、肝兪、足三里などを使用します。

自然な行為な妊娠に、自然とともに歩んできた東洋医学はぴったりです。
ぜひ、活用してみましょう。
銀のすず